「新鍼法」でおなじみだった、埼玉の、長尾正人先生は、すでに、お亡くなりになってしまいましたが、私が尊敬する鍼灸師の一人です。
まだ、私が鍼灸学校の学生時代、様々な治療院に見学にいかせていただきました。
その中でも、この、長尾正人先生の治療院の見学は、非常に印象に残っています。
2001年当時、私が、鍼灸学校1年生の冬、埼玉県は、草加市の治療院に、見学にいかせていただきました。
当時、鍼灸・手技療法の業界誌「医道の日本」に連載されており、その内容に、非常に共鳴を受け、会いにいきたい、と、思い、その旨連絡しました。
非常に、快く、承諾してくださり、当時、私自信の体調不良が著しかったこともあり、ついでに、治療の予約までさせていただきました。
看板も出していない治療院には、次から次へと患者さんが出入りしていて、間違いなく流行っている治療院でした。
「新鍼法」という、背骨の際に、ずらっと鍼を比較的深く刺す、というスタイルをはじめ、全身的に治療されていたので、一人に、一時間半くらいかけていました。
したがって、ベッド3台で、回してはいましたが、一日に診れる患者さんの数は、物理的に限られていました。
文章で読んでいたとうりの施術で、看板に偽りなし、でした。
結論的に言えば、この時の鍼治療が、後にも先にも、一番、効果がありました。
当時の私は、胃腸の調子が、すこぶる悪く、食欲もあまりなく、食事が全然おいしく食べられない状態でしたし、いつも、体がだるくてしんどい状態で、めまい・ふらつきもある、という、散々な体調でした。
ここで、鍼をしていただいて、宿に帰ってからの夕食が、物凄くおいしく感じられ、どれだけでも食べられる、凄い効果だ!と、驚きました。
こんな状態でしたので、まだ若いのに、性欲も低下していたのが、何だか、妙に、ムラムラする、という久しく感じていなかった感覚も蘇っていました。
今まで、学校や、様々な治療院などで、治療を受けても(主に、経絡治療。経絡治療にいまいち入り込めなかったのは、治療を受けても、効果を感じることができなかったからです。同じ理由で、カイロプラクティック、にも入り込めませんでした。)、いまいち、というか、全く効果を感じられない状態で、果たして、本当に、はり灸なんて、効くんだろうか?と、悩んでいた時期でもあったので、この、絶大なる効果に驚くとともに、「はりって効くんだ!」と、体験できて、非常に、自分にとって大事な転機となりました。
また、この先生の凄いところは、相棒の先生と、健康維持のために、休みの日は、鍼をお互いに打ち合う(共食い、と、呼ばれていました。)し、お手伝いの、元看護婦さんや、先生のお母様に、いつもの臨床どうりの鍼治療を施していたことです。
人に鍼をするのは好きだが、自分はされるのは嫌い、な、鍼灸師、や、嫌いでもないけれど、特に、自分自身の体調管理に、鍼灸を生かしていない、鍼灸師、は、意外に、結構いるものです。
人には、いいですよ、と、すすめておいて、自分自身にはしない、では、いまいち信用ができません。
自分自身の健康管理に、鍼灸を生かす、という、大切なことも、先生から学ばせていただきました。
(前出の、首藤先生も、自分で自分に、一日三回、鍼をして、健康維持されています。本物です。)
当時、見ず知らずの、一鍼灸学校の学生に、ご丁寧に対応していただき、今でも、そのご恩は、忘れておりません。
あの時、自分が、体験したような、効果、を、患者さんに感じてもらえるように、未だに、いつも、イメージしながら、施術させていただいております。
どうも、ありがとうございました。