「うつ病」に苦しんでいる方は少なくないとおもいます。
「うつ病」の発症に至る過程は人それぞれでしょうが、一つに「頑張りすぎ」があるのではないでしょうか?
たとえば、猛烈に仕事が忙しいAさん。
毎日11過ぎまで残業。終電でようやく帰宅。土日も仕事。休む暇なし。睡眠時間は4時間。
そんな状況が1年以上。
最初は身体がだるい、疲れやすい、と思っていただけだったのが、疲れがまったくとれなくなり、次第に気分も落ち込み、体が動かなくなり、会社に行けなくなる。
そして、病院を訪れると「うつ病」との診断。
Aさんは、「なんで自分はうつ病になんかなったんだろう」と悩み、病気を呪います。
こういったような事例は、現代日本では、まれなケースではないでしょう。
しかし、もしうつ病になっていなかったら、Aさんはどうなっていたでしょう?
身体を壊していてもおかしくありません。
心筋梗塞や脳卒中で「過労死」していたかもしれません。
Aさんは、「うつ病になったおかげで、過労死を回避できた」
と、考えることは不合理ではないでしょう。
「うつ病」は、これ以上無理をすると身体が壊れますよ、死にますよ、というときに作動する「緊急停止装置」である場合があるのではないでしょうか?
うつ病以外の身体疾患も、同じような「黄色信号」の意味合いがある場合があるようです。
「病気」や「症状」には、これ以上身体を酷使すると大変なことになりますよ、少し身体を休めなさい、という「警告」の意味がある場合もあるようです。
基本的に、「日本人」は「頑張りすぎる」国民性があるようです。
仕事も勉強もスポーツも「頑張る」ことが美徳。
「頑張る」ことは素晴らしい、と、子供のころからなかば洗脳されて育っていき大人になります。
特に、過去に「高度経済成長」を成し遂げてしまった世代の人達は、そういった価値観が身に染みていらっしゃるでしょう。
当然、その子供世代である我々も、「頑張ることは素晴らしい」「一番を目指そう」と、教育されてきた世代です。
私の幼少時代は、学業も体育も、学年トップで、まさに「一番とらなきゃ」と思っていましたし、その競争に落ちこぼれた人のことを、思いやる気持ちなど微塵もありませんでした。
中学時代はハンドボール部に入っていましたが、人生初めての挫折を味わいました。
腰痛を発症し、退部を余儀なくされたのです。
このハンドボール部は、おそらく当時日本で一番練習していたでしょう。
365日休みはなかったし、朝練、夕練全く休みはありませんでした。
その証拠に、その後、残ったメンバーは全国優勝を成し遂げました。
そのメンバーの中に残れなかった悔しさが人生初の挫折でした。
しかし、今思えば、腰痛の発症は「必然」で、そのおかげで身体を壊すことを回避できた、と思っています。
人間は、生まれながらに「体質」が人それぞれです。
確かに「ごく一部の人」は頑張り続けられる恵まれた身体を持って生まれてきて、そういった「ごく一部の人」が、トップアスリートになれるのです。
ですので、スポーツに打ち込んでいる学生さんは、トップアスリートに憧れているでしょうが、そういった人は本当にごく一部の人で、おそらく自分はそうではない、と自覚された方が良いと思います。
テレビのスポーツコーナーに日々登場するトップアスリートと同じことはできない可能性の方が高いのです。
スポーツをすることを否定しているのではありません。
「頑張りすぎて体を壊さないようにしましょう」と言いたいのです。
大人では「仕事」です。
「頑張りすぎないと生活できない」状況にいらっしゃる方が大勢いらっしゃることは十二分に認識していますので、安易に「頑張るな」とは言えませんが、せめて「積極的に休憩を取りましょう」「できるかぎり睡眠時間を確保しましょう」とお伝えいたします。
これは、自分へのメッセージでもあります。
「頑張る」ことは素晴らしいですが、度を越した頑張り、昼も夜も24時間頑張る、長時間頑張り続けることはが、身体の病気、心の病気の原因にもなりうることは確かなようです。
今の日本も相変わらず世界のトップを目指しているようです。
「2位じゃいけないんですか?」というかつての蓮舫議員の発言を、今もう一度かみしめているところです。