気管支喘息は、急に息苦しくなってゼイゼイする発作を起こす病気です。
空気の通り道である、気道に慢性的な炎症が起きて、刺激に過敏な状態になり、そこに何らかの刺激が加わると、気道を取り巻く筋肉の収縮、粘膜のむくみ、分泌物の増加、などによって、気道が狭くなり、呼吸が苦しくなる状態が、喘息発作です。
子供の病気というイメージが一般的ですが、実は、大人の喘息も少なくなく、近年、増加傾向にあります。
喘息の治療といえば、一昔前は、苦しい発作を止める治療が主でした。
しかし、近年では、喘息の病態の根本が、慢性的な気道の炎症にあることが明らかとなってからは、その炎症を抑えて発作の予防を目指すことが、治療の基本となってきました。
大人の喘息は治らない、といわれていて、いかに良好な状態にコントロールするか、に焦点が置かれています。
喘息の治療の中心は、当然、薬物治療で、発作が起こらないようにコントロールする「長期管理薬」と、発作を鎮める「発作治療薬」に分けて考えられています。
長期管理薬の中心となっているのは、吸入ステロイド、と、長時間作用型β2刺激薬、です。
吸入ステロイドは、喘息症状の大元である、気道の慢性的な炎症を抑える最も強力な作用を持ち、継続して使用し、気道を良好な状態に保ち、発作が起こりにくくする効果があります。
長時間作用型β2刺激薬は、気管支を拡げる作用のある薬です。
最近は、この2剤を、あらかじめ配合した吸入薬が登場し、広く使われるようになっています。
このように、治療の中心が、長期管理薬になってからは、いわゆる喘息死も順調に減少し、喘息は今や、人類が最も治療に成功した慢性疾患の代表格となっています。