よく言われる誤解で、「現代西洋医学は対症療法、東洋医学は根本療法」という大いなる「誤解」があります。
東洋医学(中国伝統医学)は、その発生時からバリバリの「対症療法」で、熱があったら下げる、下痢をしたら止める、というように、「いかにその時の辛い症状を取るか」という視点で発生・発達したもので、そういった点で、西洋医学とは人間の観方や治療方法が異なるだけで、ともに「対症療法」であることに変わりありません。
ところが、東洋医学を実践する医師や鍼灸師が、「東洋医学は西洋医学とは違い根本療法である」というふうな発言をしているのをちょいちょい目にします。
ここのところは、声を大にして言いたいところなのですが、こういった考え方は完全なる「誤解」です。
西洋医学が対症療法であることはその通りです。
西洋医学の治療手段は基本「薬物」ですが、「下痢を止める薬」はありますが、「これを飲んだら一生下痢しないようになる薬」というものはありません。
「血圧を降げる薬」はありますが、「これを飲んだら一生高血圧にならない薬」というものはありません。
だから、一旦「高血圧症」と診断されたらその後ずっとその薬を飲まなければならないことになっています(この現象の是非はここでは言及しません)。
同様に、「腰痛を改善させる鍼灸治療」というものはありますが、「この鍼灸治療をしたらその後一生腰痛にならない」という鍼灸治療はありません。
これを「対症療法」と言わずして何と言うのでしょうか?
確かに、東洋医学は、西洋医学よりは人間の観方が広く大きな視点から観る、という優れた部分はありますし、「予防的に治療する」という西洋医学ではできないことをすることもできます。
が、繰り返しになりますが、「一度鍼灸治療をしたらその後は一切快適な体調で過ごせる」ということはありえないのです。
ですので、良い状態をできるだけ維持したいのであれば、悪くなる前や、悪くなりかけた時、または、定期的に、治療を施す必要があるのです。
そもそも「根本療法」とはなんでしょうか?
iPS細胞療法か?
根本療法を受けたら不老不死が実現するのか。
そんなことはありえないことは皆さんわかっているでしょう。
人間はいつかは遅かれ早かれ体の自由がだんだんきかなくなって死んでいく、と決まっています。
日々の体調も随時変化するもので、どんなに元気そうに見える人でも、その人にしかわからない衰えや不調があるはずで、気分爽快で元気もりもりの日ばかりではないはずです。
長期スパンで体調を良くしていく、または、維持する視点や実践はもちろん大事ですが、日々一日一日の体調は誰でも刻々と変化していきます。
その揺れ幅が大きいか比較的安定しているかの違いが、自分で感じる健康度に影響するのでしょう。
というわけで、一度の施術で何年来の症状が劇的に雲散霧消すること、や、一度の施術で完全無欠の体になる、なんてことはありえませんので、良くなってもまた悪くなりそうなときは、早目早目に施術を受けられることをお勧めいたします。
ここで改めて宣言しておきますが、「OKはり灸マッサージの施術は対症療法です」。
予防的施術はできますが、一度良くなったら二度と再発しない施術というものはできませんので、宜しくお願い致します。