同様の反応は、カテコールアミンやステロイドの投与でも認められました。
つまり、ストレス反応は、交感神経系と副腎皮質ホルモン系の両方を使って低体温と高血糖をもたらす反応といえます。
この状態は、人のがん患者で見られた体調と同一のものです。
このことから、がん患者はストレス状態にあるのではないかと考えられます。
多くのがん患者で、がんの発症の前に激しいストレスにさらされていることが聴きだせます。
ところで、がん細胞は、ミトコンドリアが少なく、解糖系に依存したエネルギー作成で生きていることがわかっています。
私たち真核生物は2つの生命体の合体で生じているので、それを反映して2つのエネルギー作成系を持っています。
無酸素でエネルギーをつくる方法が解糖系で、有酸素でエネルギーをつくる方法がミトコンドリア系です。
ミトコンドリアは、酸化的リン酸化という方法でエネルギーを得ています。
このような理解があると、がん患者で見られた内部環境は、がん細胞の増殖に適切な状況になっていることがわかります。
ストレスで生じた悪化した内部環境に適応するために、がん細胞が生じている可能性が考えられます。
解糖系は細胞質で行われ、ミトコンドリア系はミトコンドリアで行われています。
解糖系は無酸素下でブドウ糖を乳酸に分解することでエネルギーを得ています。
一方のミトコンドリア系は、ピルビン酸や脂肪酸を使い、有酸素下でエネルギーを取り出します。