とある心理学部教授の研究で、医者になって5年目の駆け出し医師と数十年のベテラン医師のスキルを比較した結果、5年目の駆け出し医師の方がスキルが高い例が多い、という事実が判明しました。
数十年の経験があっても、日々の単純作業を繰り返すように臨床しているベテラン医師は、むしろその能力が低下している、という事実が研究の結果判明したのです。
医学部教育においても、現在の医学生の覚えなければならない医学的知識は、40年前の50倍、とも言われています。
日々、コツコツと勉強を続け、いくつになっても毎日一生懸命新鮮な気持ちで臨床されている先生でないかぎり、臨床歴数十年のベテランだからといって腕が確かだ、とは言えない、ということがはっきりしたのです。
逆に言えば、30そこそこの若医者であっても、日々勉強に明け暮れながら、真摯に臨床に臨んでいる医者の方が腕がいい、ということが証明されたのです。
振り返って、我々のような治療師にも同じことが言える、と私(院長)は思っています。
私の臨床歴はたかだか15年そこそこで、まだまだ未熟者であることを自覚いたしておりますが、「臨床歴ウン十年の信頼」などという売り文句は当てにならない、と以前より思っていました。
何万症例みようと、その一例一例に全身全霊を注ぎながら勉強も日々欠かさない治療家でないかぎり、当てにはできない、と考えています。
経験年数だけの、妙な根拠のない自信よりも、経験年数はわずかであっても、勉強量とセンスと見ている視点によっては、あっという間にベテランを抜き去ってしまうでしょう。
何万症例診ていようが、「見ようとしていないものは見えない」のです。
この事実は、自分もうかうかしていると、すぐに新人に抜かれてしまう、ということを意味します。
日々精進、頭を使った臨床、を明日からも心掛けなければ、と、気持ち新たに引き締めているところです。
あと、余談ですが、「必ず治ります!」と、何の根拠もなく言ってしまえる治療家にはくれぐれもご注意を。
必ず治る保証なんて何処にもありません。
やってみなければわかりません。
自分の治療に自信のある治療師ほど、こういった物言いには慎重になるはずです。
必ず全例治せる治療師なんているわけないし、治らない病態など五万と存在するのですから。
できる治療家ほど、「必ず治ります!」とは言わないことを覚えておいてくださいませ。