鍼灸治療により、痛みの緩和や内臓機能の調節が達成されるメカニズムの一つとして、「血流改善作用」があげられます。
鍼灸治療後に、「頭がスッキリした」、「目がパッチリと開いて物がよく見えるようになった」、などの効果が起こることがよくあります。
こうした効果が起こる背景には、「鍼灸刺激による脳血流の改善」があります。
鍼灸刺激は、刺激部位に分布する体性求心性神経を興奮させ、情報を中枢(脳)へ伝え、脳血流増加を起こすことがわかっています。
大脳皮質血流は、自律神経と、マイネルト核、という脳内の部位に起始するコリン作動性神経(アセチルコリンという神経伝達物質により活動する神経)により調節されています。
鍼灸刺激は、このマイネルト核コリン作動性神経を働かせることにより、大脳皮質血流を増加させます。
この、マイネルト核コリン作動性神経は、アルツハイマー病の患者で特に著しく障害される部位です。
ということは、鍼灸治療は、アルツハイマー病の予防効果がある、ということがいえるかもしれません。
脳卒中後遺症など、脳循環障害に伴う症状の改善効果が鍼灸治療にはありますが、そこにも、鍼灸刺激による脳血流の改善作用が関わっているのかもしれません。