内転筋は、長内転筋や恥骨筋、薄筋などを含めた、太ももの内側にある筋肉群です。
その名の通り、脚を内側に動かす筋肉で、直立姿勢をとるときに膝が外に向いてしまわないように内側に引き付ける働きがあります。
その際、膝を外側へ向ける筋群(大腿筋膜張筋、大腿四頭筋など)と拮抗して膝を安定させています。
また、歩行中、持ち上げた脚の足や膝をどちらに向けるか、その舵の役割をはたします。
内転筋が衰えると、歩くときや運動するときに体が安定せずに、ぶれるようになります。
この状態が長くと、O脚になりやすく、膝を痛める原因になります。
靴のかかとの外側ばかりが減ってしまう人は、内転筋が弱っていて、重心がいつも足の小指側にかかっている、と考えられます。
脚の筋肉は、外側の筋肉の方が優位に働く性質がありますので、内転筋を意識して立ったり歩いたりしたり、内転筋が衰えないようにトレーニングしないと、内転筋は衰えやすい筋肉である、と言えます。
ちなみに、内転筋は、泌尿・生殖器とも関係が深く、ここが衰えると、泌尿器の問題や、精力減退などの問題が発生します。
中国伝統医学の「経絡」という概念でも、この内転筋を通る経絡は、泌尿・生殖器を司っています。
このように、中国伝統医学の「経絡」や「ツボ」は、整体領域や、理学療法領域を学べば学ぶほど、その有効性や信憑性に納得がいくようになるのです。
よって、中国伝統医学を、中国伝統医学独特の観方から観るだけでなく、整体領域や理学療法領域と組み合わせて人間の体を観ていくと、非常に広い視野から、より深い考察ができるようになるのです。
今、ホットな「筋膜」も、中国伝統医学の「経絡」と非常に共通する部分も多く、両方知って理解して臨床応用すると、非常に効果的であることを、日々の臨床で実感するところです。
鍼灸のバックグラウンドである中国伝統医学を、整体領域、理学療法領域、の考え方と組み合わせることによって、より深い考察が可能となるのです。
これが、私(院長)の目指す「総合格闘技的鍼灸治療」の視点なのです。