リハビリ領域、スポーツトレーナー領域、でお馴染みの概念として定着した「運動連鎖」。
運動連鎖とは、例えば、ボールを投げる、という運動を行う場合、腕だけが動いているのではなく、全身が鎖のように連動して動くこと、
または、ある運動を行うときにある部位の運動が全身に連鎖していくこと、というような概念です。
この運動連鎖という概念を使って運動を観ることで、例えばあるアスリートやアスリート以外の一般人の動作の不具合や障害の原因を突き止めたり、改善したりすることに利用されます。
この「運動連鎖」という言葉にあやかって、私(院長)は勝手に独自に「歪み連鎖」という概念を提唱したいと考えております。
要するに、「歪みは全身的に連鎖する」という考え方です。
歪みが全身的に連鎖する、ということは、別に私(院長)だけが気づいたことではなく、臨床経験の豊富なするどい感性を持った施術家であれば、誰もが理解していることです。
それをあえて「歪み連鎖」というワードとして提唱させてもらおうとする意図は、「全身の連動性」ということを理解することなく、いつまでたっても「局所治療」に終始している治療家が多すぎるからです。
整形外科医が局所しか観ない、または、観れない、ことは常識ですが、せめて「治療家」と名乗る以上はこの全身の連動性を理解しないことにはお話になりません。
局所治療しかできない治療家が多い、という事実は、業界全体の衰退に直結します。
「整形外科医や西洋医学ができないことをしてこそ治療家としての存在意義がある」、と私(院長)は常に考えて仕事しています。
それなのに、整形外科医と代わり映えしない治療しかできないのであれば、この業界は誰にも必要とされなくなる、もしくは「慰安」としかみなされなくなる恐れが非常に大きいのです。
別に我々治療家の方が医者よりも上だとかいう話ではありません。
医者に任せるべきものは医者に任せるべきです。
要は、西洋医学ができないことを「代替」または「補完」できなければ、真の意味での治療家としての存在意義がなくなるのです。
幸い、鍼灸師には「経絡」という「全身性に直結する概念」があります。
ですので、鍼灸師である以上、局所治療だけをしていては本当に意味での鍼灸師とは言えないのです。
よって、私(院長)は、鍼灸業界最大の流派「経絡治療学会」に大いに期待しているのです(山口君頑張ってください)、たとえ私(院長)自身は経絡治療学会員ではないにしても、です。
私(院長)自身は、「整体と鍼灸を融合させた治療」、「整体の知恵を生かした鍼灸治療」という独自の路線を追及していますが、当然「経絡」という概念は利用しますし、体の観方、考え方、重視するポイント、は少し違えど、基本的には「経絡治療学会が行う鍼灸治療」と違わない、と思っています。
というように、少なくとも「鍼灸師」である以上、全ての鍼灸師は「仲間」、「同志」だと思っています。
ですが、その鍼灸師の中にも、局所治療しか行わない治療家がいる、ということが非常にもったいないことに思えるのです。
話を「歪み連鎖」に戻しまして、例えば、「肩が痛くて腕が上がらない」という、いわゆる四十肩・五十肩のような症状も、整形外科的知識ももちろん必要ですが、それだけではない「全身の歪みの連鎖」を意識して観る、治療する、ことが大事である、と言いたいのです。
肩が痛くて腕が上がらない、という「症状」は、実は、全身の歪みが総決算的に「肩」という部位に集中してしまって起こることで、いわば「氷山の一角」である、ということが言いたいのです。
肩が痛くて腕が上がらない、という症状が出るまでに、その他の全身の一見肩とは何の関係もないと思える格部位の歪み、関節機能障害、が連鎖して積もり積もって症状として表れているのです。
そして、全身を観る場合に重要なのが、皮膚・筋膜、筋肉、そして、骨格・関節、というように、分けて考えるのではなく、それらを統合して観る、という多眼的に見る目です。
その中でも私(院長)が最重要視しているのが、「骨格・関節」です。
「骨格・関節の歪み」こそが、症状の真犯人なのです。
もちろん、骨格・関節の歪み、と、筋肉の歪み、と、皮膚・筋膜の歪み、は切り離して考えることはできません。
全部が密接に連動して歪んでいきます。
が、結局、骨格・関節が歪むから症状が出る、骨格・関節を整えれば症状は消失もしくは軽減する、のです。
人体の屋台骨「骨格・関節」が歪むと、血液、リンパ液、脳脊髄液、神経系の流れ、内臓の機能、そして、気の流れ、など、あらゆる流れるべきもの、が滞ります。
この滞りが諸悪の根源であり、その真の原因が、骨格・関節の歪み、なのです。
そして、例えば、肩が痛くて腕が上がらない、という症状で考えた場合、突然肩に異変が起こるのではなく、全身のあらゆる部位の歪みの総決算が歪みを代償する人体の機能の限界を超えたときに発症するのです。
そして、更に重要なのが、ストレスが骨格・関節を歪ませることがある、し、内臓機能の不具合が骨格・関節を歪ませることがある、ということです。
また、これといった歪みがなくても、全身が硬くなる、ことで、症状が発症することもあります。
要は、「骨格・関節が窮屈になっている」状態です。
人間はゆるんでいることが大事だ、とはよく言われることです。
何かを達成しようとしてやろう、というときも、はじめがゆるんでいないと緊張することもできないのです。
最初から緊張しっぱなしでは、緊張する伸びしろがない、ということです。
まとめると、一見局所の症状のように見えて、その裏には全身のあらゆる部位の歪みが連鎖してその症状を発症させている、ということです。
ですので、治療方針としては、全身の歪みの連鎖をうまくほどいていく、ということになるのです
この時に意識するべきは骨格・関節です。
そして、全身のあらゆる部位は連動していて、関係ない部位などない、ということです。
これらは、「仮説」などではなく、私(院長)の約20年の臨床経験から会得した「事実」なのです。