元来、我々アジア人、特に日本人は、肩を下げ、脇を締めるのが得意な民族で、それは、着物の所作や相撲のつっぱり、突きの動作などに顕著に現れています。
欧米人は逆に肩甲骨の外転の可動性が高く、肩幅の広い逆三角形の体型になりやすいといわれています。
ボクシングのパンチは、肩甲骨を外転させることでリーチを稼ぐとともに胸椎の回旋を強調した打ち方です。
ノコギリの歯も、日本のものは引き切るように作られていますが、欧米のノコギリは押し切り用です。
剣も、日本刀は引き切りますが、フェンシングは刺します。
このように、元々の身体特性の違いが日常動作や運動動作に現れています。
引く動きでは、肩甲帯、肩関節、肘関節が正しく連動します。
それによって、引く動作に、より多くの筋群が関与することにより、パワーや動作の効率性を高めることにつながります。
その中でも、肩甲骨の動きは非常に重要です。
引く動きでは、肩甲骨は、内転、下制、後退の動きをします。
元々、日本人は引く動きが得意な民族です。
しかし、現代の一般的な猫背ぎみの日本人の姿勢では、うまく肩甲骨が動かず、背中を使わず腕で引く動きになってしまっていることが多いと考えられます。
かといって、欧米人型のように肩甲骨の外転の可動性が広がったわけでもありません。
一般の現代日本人は、アジア的でも欧米的でもない、中途半端な体の使い方になっている、ということがいえます。
これを改善するには、ニュートラルな脊柱のポジションが重要で、そのためには、まず正しい姿勢を作り、そこから肩甲骨の可動性を高める必要があります。
こういったことを意識して、コンディショニングやトレーニングに地道に励めば、肩こり、五十肩、他、様々な辛い症状の改善、予防ができることになるのです。