「隠れ胸椎」と言って、首肩こりや腰痛の原因が胸椎が硬くなることにある、という意味で使われることがこの業界ではよくあります。
が、一歩進んで、「隠れ胸郭」ということがあるのではないか?と最近の臨床から感じています。
胸郭は、胸椎、と、肋骨、と、胸骨、からなります
。
胸椎だけでなく、胸郭全体が硬くなったり、歪んだりして、その他の部位に連鎖的に影響を与え、一見関係ないと思われる不快症状を出す、ということは確実にある、と最近認識し、胸郭をゆるめたり、胸郭の歪みを整えたりすることを意識した施術をすることが増えています。
「骨盤の歪み」というワードは、なぜか人を引き付けるらしく、それを狙って、多くの治療院がこぞって「骨盤、骨盤」と躍起になってアピールしています。
もちろん、骨盤、は人体にとって非常に大事な部位であることは、私(院長)も重々承知しています。
骨盤は、先ほどの胸郭とも密接に連動しており、胸郭を診ることなく骨盤だけを診ていては片手落ちなのです。
骨盤は、胸郭以外にも、体のあらゆる部位と連動しています。
故に、「骨盤を整えれば全体が整う」というのは、あながち間違いではないです。
が、骨盤を整えるだけでは解決しない場合があるのです。
そういった時、胸郭に目をやると、多くの方で歪みがある、ということに気付くのです。
そして、胸郭の歪みを整えると、それをしなかった場合よりも、より高い治療効果が上がる、ということが経験するようになります。
「胸郭の歪み」は、見落とされがちなのですが、20年も前から「呼吸器官」である「胸郭」を「運動器」として捉えて研究されてこられた、文京学院大学の柿崎先生のこのご著書「胸郭運動システムの再建法」は、いわゆる「胸郭の歪み」のパターンや、なぜそうなるか?などの考察が非常に施術の参考になります(ただし、治療法はいまいち)。
理学療法領域の本ですが、興味がある治療家の先生にも得るものがあると思います、おすすめです。