片頭痛の一番の誘因は、「肩こり」と感じている患者さんは非常に多いです。
実際、片頭痛をお持ちの方の約90%が、何らかの時期に肩や首のこり・痛みを訴えます。
片頭痛に対する鍼灸治療の考え方は、基本的に、片頭痛の非発作期に、頭痛の予防を目的とします。
片頭痛の発症メカニズムは、未だ未解明ですが、現時点で、「三叉神経血管説」が有力視されています。
脳血管に分布する三叉神経と血管自体が、何らかの原因で炎症を起こすことで、脳血管拡張を引き起こし、片頭痛発作が発症する、と考えられています。
この仮説より、片頭痛を予防するには、三叉神経、脳血管の過敏性を抑制すること、と考えることができます。
ここでいう、三叉神経・脳血管の過敏性と首肩こりは、大元は一緒と考えることができます。
つまり、首肩こりの治療が、即、片頭痛予防の治療になる、ということです。
首肩こりの改善は、鍼灸治療の大得意分野です。
よって、鍼灸治療で首肩こりの緩和をすることにより、片頭痛の予防になる、ということがいえます。
実際、片頭痛の発作予防に対する鍼灸治療の効果は、先行研究により、標準的な予防薬物と比較しても良好な効果を出し、副作用も少ないことが明らかにされています。
片頭痛患者さんは、そうでない人に比べ、健康寿命を2~3年縮める、ともいわれ、特に、前兆のある片頭痛では、脳血管障害のリスクが高く、小脳病変が多いことが明らかになっています。
片頭痛患者と健康成人に対する鍼灸治療が脳血流に及ぼす影響についての研究で、まず、片頭痛患者は、後頭葉や小脳の脳血流のベースラインが健康成人より高く、鍼灸治療により、健康成人と比較して高かった後頭葉や小脳の脳血流が減少した、という結果が出ています。
鍼灸治療により、片頭痛を予防することで、健康寿命を延長させ、さらに脳血管障害のリスクも減少させることが可能です。
ところで、片頭痛は、ホッと気が緩んだ時に起こることが多い、といわれています。
その根底には、逆に、常日頃の心身の緊張が強い、ということが考えられます。
片頭痛の誘因には、肩こり、ストレス、睡眠不足、頑張りすぎ、があるといわれます。
片頭痛持ちの方は、普段から定期的に鍼灸治療を受けて、心身の緊張をほぐしておくと、片頭痛発作が起こりにくくなるのです。