首都大学東京の樋口貴広先生と、京都大学の建内宏重先生の共著である「姿勢と歩行」。
スポーツメディスン173号の特集で知り、更に理解を深めたい、と、昨年末購入しました。
それぞれの優秀な先生が、「姿勢と歩行」というものに、それぞれ別々の切り口から素晴らしい理論を展開しています。
建内先生は、いわゆるアライメントやバイオメカニクス中心に述べられていて、高度ですが、非常にわかりやすく、かつ、即臨床に応用が利く内容となっています。
一番の成果は、ヒトが立っているときの身体のアライメントは、近年、理学療法領域やスポーツ医学領域での「流行り」的概念である「運動連鎖」だけで観るには無理があり、「姿勢制御」という概念も同時に考える必要の重要性を説いているところです。
一方の、樋口先生は、また視点を変えて、従来の、運動出力機能と知覚・認知機能をそれぞれ独立して扱う枠組みから、身体運動と知覚・認知機能の不可分性、つまり、知覚・認知を変えれば運動が変わる、という、知覚・認知系と運動系を、単一システムとして扱う、という画期的な提言をされていて、これまた、間接的ではありますが、臨床に役だつ思考です。
私(院長)は、様々な書籍を購入して、勉強を続けていますが、それはみな、全て、「臨床のため」です。
鍼を打つ、関節モビリゼーションをする、という、具体的に臨床でアプローチするための、バックグラウンドである「理論」をできるだけ積み上げたいのです。
バックグラウンドである「理論」の積み重ねがあるかないかは、必ず治療成績に直結する、と、信じて疑わないからです。
こういった「理論」「理屈」の積み重ねから、ある時、ふと、ひらめきがあります。
バックグラウンドである、理論・理屈がないと、ひらめかないし、たとえひらめいたとしても、そのひらめきの根幹が非常に危ういものでしかないのです。
「アウトプットするには、まずインプットすること」、は、どの世界でも共通原則です。
ちなみに、私(院長)は、セミナーや勉強会へは、以前は良く行っていましたが、今では全く行かなくなりました。
書籍で学んだ方が、圧倒的に効果的、効率的だからです。
そこから臨床に生かせる能力が今の自分にはある、と、自信があるからです。
むしろ、不毛なセミナーや勉強会が多すぎる、と、感じます。
ここ最近、日々成長できている実感があるし、実際結果も出ています。
このことからも、もはやセミナーや勉強会からではなく、自分でいいと思った書籍、時には、DVDで、オリジナルな領域を確立するステージに突入した、と、感じる、今日この頃です。