OKの問診表で、「疲れやすい」や「からだがだるい」に○を付ける人は非常に多いです。
全体の7~8割になるのではないでしょうか?
疲労そのものが主訴の場合もあります。
疲れた状態の人へ施術する際の刺激量には注意が必要であることは、鍼灸業界では「常識」です。
脈を注意深く確認し、速い脈、浮いた脈、などは、なおさら注意しなければなりません。
身体のエネルギーが低下して、疲れている状態を、中医学では、「気虚(いわゆる気が少なくなった状態)」といいます。
気虚の人に対する施術の際の刺激量には、細心の注意を払います。
ちょっとした軽い刺激量の施術でも、後で疲れが出てしまうことがままあるからです。
刺さない鍼や、お灸を加えるなどして、施術により、気をそれ以上減らすことのないように注意します。
気虚かどうかは、問診においても、ある程度予想することが可能です。
気虚の典型的とされる症状はいろいろあります。(ここでは省略)
この気虚かどうかの一つの目安が、長風呂が平気かどうか?があります。
ちょっと長めに入浴すると疲れてしまう人は、間違いなく気虚です。
「先生、体がだるくてしかたない」とか言うわりに、温泉や長風呂でリフレッシュできる人は、少なくとも気虚ではありません。
こういう場合は、例えば「痰飲」など、他の病態を考えます。
ちなみに、「気虚」は「五臓」と結び付けてさらに細分化して、「腎気虚」「脾気虚」「肺気虚」「心気虚」などに分けることができます。
「心肺気虚」などという、複数の臓腑が絡んだ気虚もあります。
「五臓」の中で、「肝」だけは、気が有余になったり、滞ったりすることはあるものの、「肝気虚」はない、とされてきました。
が、近年の進化した中医学では、「肝気虚」はある、とされるようになってきていて、さらには、現代日本人の気虚の多くは、この「肝気虚」である、という論調も見かけるようになりました。
次回、この「肝気虚」について、お話したいと考えています。