治療の大原則があります。
「治るまで治療を継続する人が治る」
という原則です。
「治る」という言葉の意味も、「日常生活に支障がないくらいにまで改善する」という意味です。
もちろん、時には、一切症状が消えてなくなる場合もあります。
が、だいたいが、「日常生活に支障がないくらいにまで改善する」というところで落ち着くことが、「治る」ということです。
そして、一度治っても、その後もその人の人生が続く限り、また同じ症状がぶり返したり、ほかの症状が出現することは当然あります、人間だもの。
また、「治らない」病気の人もたくさんいらっしゃいます。
そういった人の場合の治療の意義は、
「できるだけ日常生活を快適に過ごす」
ことのお手伝いです。
治らない病気は無数にあります。
つまり、
「治らないものは治らない」
という現実はたくさん存在するのです。
「治る」=「症状が完全に消失する」
を求めすぎると、患者さん術者双方にとってデメリットでしかありません。
「完全に消失」とは、完璧主義な考え方です。
完璧主義は、はっきり言って一種の「病気」です。
「まあぼちぼち生活に支障がなくなった」くらいまで「ほどほどに」改善することが「ゴール」です。
「症状を完全に消し去る」ということをゴールに設定する患者さんや術者は、双方「完璧主義」に陥っているため、双方とも疲弊します。
人間、生きている限り、肩がこる、腰が痛い、あそこが痛い、体がだるい、やる気が出ない、なんてことは、しょちゅう起こるのが「普通」です、人間だもの。
そういった「辛い症状」が「日常生活に支障をきたす」くらいに、また、「仕事に差し支える」くらいにまでなったときに「治療」を必要とします。
そして、一度そういった状況に陥って治療によって改善した人は、またそういった状態に陥りたくないために、「早め早めに来院する」、「定期的にメンテナンス治療をする」という方法を取るのです。
そして、
「治るまで治療を継続する人が治ります」
ということは事実ですので、治療家の立場としては、
「本当に治りたいのであれば、治るまで治療を継続してください」
とお伝えするしかありません。
治るまでの期間は個人差が大きいので、複数回治療してみないと何回くらいで治るかは正直わからないのです。
そして、もう一つ重要なのが、
「症状が完全に消失する」というゴール設定をしないこと。
このあたりのことを、患者さんと治療家が共通理解として持っておかないと、双方がストレスを抱えることとなります。
話をまとまると、
「治りたいのであれば治るまで治療を継続することが必要」
「患者さん治療家ともに完全に症状を消失させることをゴールとしない」
ことが、治療において重要になる、という話です。