一般の方は、肩こりと腰痛は別々に起きているものと考えます。
一般の方だけでなく、治療家でも、肩こりは肩こり、腰痛は腰痛、と、症状を訴えているところに直接アプローチする人が少なくないのが現状です。
ですが、人間の体というものは、全身が繋がっていて丸ごと一つです。
あらゆる部位があらゆる部位と関係性を保って存在しています。
ですので、腰が痛い、という時、もちろん腰自体に不具合は生じているのですが、腰以外が腰痛の大きな原因の一つになっていることがあります。
昨日は、首の痛みで時々来られる患者さんがいらっしゃって、聴くと、3~4日前から再び首が痛くなり、「OKはり灸マッサージに行きたいなと思っていたところ、朝起きたら腰も痛くなっていた」とのこと。
いつものように全身を触診すると、明らかに頚椎2、3番が左にズレていました。
この人は、いつもこのパターンを取ります。
それとともに、骨盤の仙骨も歪み、右仙腸関節の動きに不具合が生じていました。
少々専門的話になりますが、脳脊髄硬膜は、頚椎1,2,3番と仙骨に付着しています。
ですので、頚椎1,2,3番が歪むと、その歪みは連動して、仙骨を歪ませます。
つまり、「首に不具合があるせいで腰まで痛くなる」ということが、案外多くの患者さんで見られるのです。
腰痛治療では必ず首をチェックする必要がある
頚椎と仙骨の連動を意識しない(知らない)治療家は、腰痛と言えば腰しか診ませんから、治せない、で、OKはり灸マッサージで治る、ということがかなり頻繁にあります。
そして、治療において重要なのは、首に不具合があってもすぐに首にアプローチするのではなく、首は一番最後までとっておく、ということです。
なぜなら、首以外の全身治療をすると、勝手に頚椎の歪みが修正されている場合があるからです。
この現象がなぜ起こるかは不明ですが、現実に起きます。
正確には、自動的に修正される場合と、そうでない場合があります。
全身治療をしても頚椎の歪みが残る場合のみ、頚椎の歪みの調整を行います。
この場合も、できるだけ頚椎に直接アプローチするのではなく、他の部位で調整できないか試してみます。
それでも調整されない場合のみ頚椎に直接アプローチします。
そういう段階を踏んだ方が、完全かつ確実かつ有効な治療となることを、私(院長)の長年の臨床経験から会得いたしました。
話は戻り、この方の場合は、今回頚椎に直接アプローチしなくても、自動的に頚椎の歪みが調整されて、しかも骨盤の歪みも調整され、結果、首の痛みも腰の痛みも改善しました。
このように、「腰痛は首の不具合と連動していることが非常に多い」ですので、腰痛治療においては必ず首もチェックする、ということは、OKはり灸マッサージの治療においては、「常識」となっているのです。