一般的に言われる体が柔らかいことと、動きが柔らかいこととは違います。
たまたま前屈や後屈が出来ても、それがただ単に「ゆるい」という意味での柔らかさであれば、動きの柔らかさにはなりません。
動きの柔らかさは、体の各部位が繋がり、連動してこそ生まれるものです。
ただ単に「ゆるい」人は、繋がりがなくバラバラな体といえます。
こういう人の動きは、逆に硬いのです。
動く時にゆるんだ関節の代わりに筋肉を硬めてしまうため、動きが硬くなるのです。
もちろん反対に関節が硬すぎれば、ガチガチのロボットのようにしなやかには動けません。
ですので、程よく関節を調整することが大切なのです。
緩みきった関節は締め、固まった関節は緩める。
程よく締まり、程よく遊びのある関節の状態をつくることが、動きの柔らかさをつくる必須条件となります。
近年、ストレッチの弊害の主張や、ストレッチへの批判を多く見聞きするようになりました。
しかし、ストレッチのような動きは、快感原則にかなっているから、生理的に気持ちがいいから、人はその動きを求めるのです。
昨今のストレッチへの批判は、ストレッチそのものではなく、そのやり方に問題があるために弊害が生まれると言われているのではないでしょうか。
実際、力づくで無理やり筋肉を伸ばしたら、筋肉組織を痛めてしまいます。
そして、もっと大事なことは、ストレッチは「ウォームアップ」ではなく、関節と筋肉の可動域を拡げる「トレーニング」だということです。
走る直前に開脚前屈などの大きなストレッチをすると、走るパフォーマンスが落ちる、と言われますが、当然なのです。
動く直前は、ストレッチではなく、筋肉の弾力を向上させるウォームアップをするのです。
ストレッチは、トレーニングやコンディショニングとしては効果的ですが、本番前のウォームアップではないのです。
ストレッチをウォームアップとして捉えるという誤解が、批判の一因となっているのではないでしょうか。
繰り返しますが、ストレッチはトレーニングなのです。