21世紀の国民病ともいえる糖尿病に、鍼灸マッサージ師は貢献できるのか?という問題は、我々鍼灸マッサージ師は真剣に考える必要がある、と考えます。
医業類似行為を国家から保障されている我々鍼灸マッサージ師が、多くの人が直面している糖尿病という問題に無関心または、関与しない、ということは、自らの権利と責任を放棄している、といわなければなりません。
筋骨格系の愁訴のみにしか対応しない、または、できない鍼灸マッサージ。
スポーツ選手の施術で満足してしまう鍼灸マッサージ。
これでは私自身は悲しすぎます。
研究レベルや、意識の高いベテラン鍼灸師の方々の症例報告などで、鍼灸治療が糖尿病に貢献できる可能性はある、と私自身は考えています。
鍼灸治療が血糖コントロールに有効である、という明確なエビデンスは今のところ存在しませんが、単に血糖コントロールだけでなく、それ以外の、たとえば生活に参考になることをお伝えする、一緒に糖尿病に立ち向かっていく補助者になる、など、貢献できる要素はある、と考えます。
鍼灸治療による血糖コントロール自体も、有効性のある報告もあり、鍼灸の作用メカニズムを考えても、効果を出すことは決して不可能ではない、と考えます。
ただし、それを可能にするには、我々鍼灸マッサージ師一人一人が、意識を高く持って、糖尿病に精通する必要があります。
糖尿病の治療は3年経つと古い、といわれているように、実際ここ数年で、診断基準、目標数値、治療薬物など目まぐるしく変わっています。
まず我々鍼灸マッサージ師は、現代医学領域の知識をしっかりと持ち、それに鍼灸ならどう貢献できるか?を常に考えていく必要があります。
以後、数回にわたり、糖尿病と鍼灸治療、と題して、鍼灸師がいかにして糖尿病患者さんに貢献できる可能性があるか、をみていきたいと思います。