変形性膝関節症は、ほとんどが、内側型です。
変形性膝関節症は、関節の内側に、力学的負荷がかかることが、最大の要因です。
なぜ、膝関節内側に力学的負荷がかかるのかといえば、ひとことでいうと、膝に対する内反の力学的負荷(膝内反モーメント)が過大になるからです。
その要因には、様々なことが考えられますが、解剖学的な静的要因もさることながら、それ以上に、動的要因が関与している、と考えられます。
その一つが、荷重時における脛骨内旋運動の減少です。
健常膝では、荷重時に脛骨が内旋します。
変形性膝関節症では、この荷重時の脛骨の内旋運動が減少している、といわれています。
変形性膝関節症の進行とともに、脛骨は外旋していくのです。
脛骨の内旋の減少(外旋の増加)は、股関節での外旋を増加させ、それに伴い膝関節は、外側へと移動します。
その結果、膝内反モーメントは増大し、さらに変形性膝関節症を進行させていくという悪循環に陥っていきます。
変形性膝関節症の内反アライメントは、股関節外転位を生じさせるため、中殿筋の起始部と停止部の距離が短縮し、股関節外転筋の張力発生率が低下します。
さらに、変形性膝関節症にしばしば見られる股関節外旋位での歩行により、同様のメカニズムで、股関節外転筋張力効率が低下します。
つまり、変形性膝関節症の患者さんでは、股関節外転筋力の低下が生じやすいのです。
股関節外転筋力の低下は、変形性膝関節症の患者さんの、前額面での骨盤水平保持機構に破綻をきたし、膝内反モーメント増大の一因となります。
これにより、体幹が支持脚の反対側に傾くこととなり、患側の大腿筋膜張筋~腸脛靭帯の緊張を高めます。
腸脛靭帯は膝屈曲位において脛骨を外旋する作用を有するため、前述の、荷重時における脛骨内旋減少を招き、これまた、変形性膝関節症の進行させる悪循環を形成することになります。