背中、特に肩甲骨と肩甲骨の間、いわゆる肩甲間部、が何とも言えない痛みが持続して辛い、という方が時々いらっしゃいます。
こういった場合、その痛みを発している組織は、様々な部位が想定されます。
その中でも、首の付け根の前の奥にある、星状神経節、という組織がその痛みの発信源となっていることがある、と私(院長)は、考えています。
星状神経節、とは、頚椎の前を上下に伸びる交感神経幹(頚部交感神経幹)にある4つの節(上頚神経節、中頚神経節、椎骨動脈神経節、星状神経節)のうちの一つで、星状神経節、は、本来、下神経節ですが、第一胸部交感神経節とくっついて一つになっている星形の大きな交感神経節です。
自律神経である交感神経幹と痛みなどの感覚を感受する感覚神経は、ところどころで繋がっていて、解剖学的にも、痛みと交感神経(自律神経)は、密接な関係があることがわかります。
星状神経節は、頭顔首肩背中腕を主に支配していますので、そこらの症状の発生に関わっていることがあります。
ですので、ここらの痛みや不具合に、ペインクリニックでは、星状神経節ブロック、という神経ブロック注射をするのです。
さて、肩甲間部の痛みが星状神経節由来であると考えられる場合は、まずその痛みを感じる部位が痛みの発信源でないと思われる、その他の部位からの放散痛、関連痛、でもなさそうな場合、です。
そういった場合、ほとんどの例で、胸郭に対し頭部がまっすぐに上に乗っていない状態の姿勢であることを経験します。
そういった姿勢であると、当然、首は曲がるので、星状神経節は圧迫もしくは牽引されます。
それによる刺激により、痛みを出す、と考えています。
治療戦略としては、頭が胸郭の上に真っ直ぐに乗るような姿勢に導くこと、首肩の上下左右前後のバランスをとること、です。
それが達成されると、痛みは瞬時に消失します。
ちなみに、肩甲間部の痛みだけでなく、頭顔首肩背中腕の凝り痛みには、必ず星状神経節が関係していると考えて施術すると、上手くいくことが多いです。
その他、あらゆる痛みは自律神経と多かれ少なかれ関係がある、と考えています。
そもそも、痛み系、と、自律神経系(特に交感神経)、は、発生学的に、ほとんど同じと考えても良いのです。
あと、頭が胸郭の上に真っ直ぐ乗っていない方は、たとえば自律神経失調症のように、自律神経が不安定な方が多いことも臨床経験からわかっております。
頭がきちんと胸郭の上に真っ直ぐ乗るようになると、自律神経症状も改善していることが多いです。
頚部での星状神経節をはじめとした、自律神経が正しい位置になることで、機能も安定するのでしょう。