理学療法領域で、「マッスルインバランス」という概念がああります。
マッスルインバランスとは、日本語に訳すと「筋の不均衡」。
腰痛や肩こりなど慢性的な痛みを抱えている人によくみられる状態と言われています。
慢性的な痛みを抱えている人の多くは、全身の筋活動に不均衡が生じていて、この筋の不均衡が運動パターンを変化させ、これが繰り返されることによって好ましくない運動パターンが定着します。
その後、通常とは違う関節の位置変化、感覚情報の入力変化が起き、最終的には、関節の変性と姿勢の変化に至ります。
そのような状態になっていると、痛いところだけを治療してもなかなか改善しないし、改善したと思ってもすぐ元に戻る、ということが起こります。
よって、治療では、痛みの原因となっている「筋の不均衡」を改善しなければならない、という考え方です。
筋の不均衡は、「活動が強い筋」と「活動が弱い筋」が存在することから起こります。
治療方針としては、活動が強い筋はゆるめ、活動の弱い筋は運動療法で強化する、ということです。
元々活動が強くなりやすい筋と活動が弱くなりやすい筋は決まっている傾向にあります。
ですので、たとえば「猫背」などの万人に共通の不良姿勢が存在するのです。
このマッスルインバランスという概念は、非常に注目に値する考え方だと私(院長)も思います。
この概念から、たとえば、まずは筋バランスが整っていない状態で筋トレをガンガンやると余計に体を悪くする可能性がある、ということも理解できるでしょう。
トレーニング領域で、「モビリティファースト、スタビリティネクスト」という概念があります。
スタビリティ(安定性)より先にモビリティ(可動性)をつけることが大切、という概念です。
モビリティ(可動性)はフレキシビリティ(柔軟性)から生まれます。
とにかく「体が硬い」という状態で得することは何もない、ということです。
しかし、ただ単に体が柔らかいだけでも良い状態の体は実現しません。
まずは体を柔らかくして、関節の可動性をしっかり確保し、その上で筋トレなどで安定性を鍛える。
この順序でトレーニングしていくことが大切だ、ということが、近年のトレーニング領域でも言われるようになりました。
やはり、人生の全てにおいて大切なのは、あらゆる領域での「バランス」なのでしょう。