めまいは耳から脳までの間の異常で起こります
耳の中の「内耳(ないじ)」には、音を感知する「蝸牛(かぎゅう)」の他に、「三半規管(さんはんきかん)」と「前庭(ぜんてい)」という器官があり、頭の動き、位置、向きなどの情報を感知するセンサーになっています。
この「三半規管」と「前庭」の情報は、「前庭神経(ぜんていしんけい)」という神経を通じて、「脳幹(のうかん)」という場所にある「前庭神経核(ぜんていしんけいかく)」に送られます。
「前庭神経核」は、同じく「脳幹」にある、眼を動かす神経の出発点である「動眼神経核(どうがんしんけいかく)」や、体を平行に保ち動作をスムーズにする役割を持つ「小脳(しょうのう)」などと神経的なつながりを持っています。
これらのつながり全体を「前庭系(ぜんていけい)」といい、この「前庭系」のどこかが障害されると、「めまい」を生じます。
めまいの原因は複数
「めまい」は、「末梢性めまい」と「中枢性めまい」とに区別されます。
- 末梢性めまい・・・内耳と前庭神経の障害によって起こる
- 中枢性めまい・・・前庭神経核を含む脳幹と小脳での障害によって起こるめまい
- 原因不明
めまいの原因は複数あり、めまいがあって病院で詳しく検査しても「原因不明」であることがあります。
原因不明のめまいに交感神経がかかわっている
こうした、原因不明のめまいを起こしやすい人は、「自律神経」のうちの、「交感神経」の機能に何らかの障害があることがわかっています。
この異常の中で、最も重要な問題は、首の奥を通る左右の交感神経のうち、どちらか一方の交感神経だけが強く緊張する場合です。
首の奥の左右を通る交感神経は、主に首の上の方にある「上頚神経節(じょうけいしんけいせつ)」を経て「椎骨動脈(ついこつどうみゃく)」から「脳底動脈(のうていどうみゃく)」に分布し、さらに脳幹、小脳、前庭などへ分布します。
そのため、首の奥の左右にある交感神経のうち、どちらか一方の交感神経が、異常に緊張すると、左右1本ずつある椎骨動脈を流れる血流に左右差ができます。
(「椎骨動脈」は7つある「頸椎(けいつい=首の骨)」の「横突起(おうとっき)」の中を通って頭蓋骨の中の脳幹、小脳など「前庭系」に血流を送っています。その血管の開け閉めを自動調節しているのが「交感神経」ですので、どちらか一方の交感神経が緊張(過度に機能する)と、そちら側の椎骨動脈は収縮してしまい、その結果血流も減少し、椎骨動脈の血流に左右差ができてしまうのです。)
その結果、内耳の血流にも左右差を生じ、末梢性のめまいを引き起こします。
また、椎骨動脈の血流の左右差が、脳幹や小脳や前庭神経核などの片側だけを刺激することとなり、中枢性めまいが引き起こされます。
このように、病院で詳しい検査をしても「原因不明」と判断されるめまいの原因の多くは、首の奥の左右にある交感神経の緊張度の左右差、が原因なのです。
しかも、その原因のもととなっているのは(もしくは、連動して起こっているのは)、
「首や肩のこり」とそれに連動して起こる「頚椎のゆがみ」
であることが、実は多いのです。(交感神経の過緊張自体が筋肉のこりを引き起こします。また、頚椎のゆがみ自体が交感神経や椎骨動脈自体を圧迫して、機能障害を引き起こす場合もあり、問題は複雑です。)
実際、こういった方の首肩の筋肉を触ると、かたくこっていて、しかも左右差があります。
頚椎も触診して調べると、ゆがんでいる(関節機能不全を起こしている)場合が多いです。
よくこういった方に、内耳の循環を良くするお薬(セファドール、メリスロンなど)が出されていたりすることが多いですが、ほとんど効かないとおっしゃいます。
先ほどのような、原因不明のめまいが起こるメカニズムがわかれば、なるほど効かないのもおわかりかと思います。
自律神経を整え、筋緊張をゆるめると、めまいが良くなることもある
それよりも、程よく自律神経バランスを整え、筋肉の緊張の緩和作用のある、安定剤系の方が良く効くのもうなずけます。
こういった方に、はり灸&整体施術で、首肩まわりの筋骨格バランスを整えてあげると、めまいは確かに起こりにくくなります。
「めまい」は「頭痛」とともに、非常に危険な原因で起こることもある症状ですので、まずは、病院でしっかり原因を調べてもらいましょう。
そうして、詳しく調べた結果、「原因不明」とお医者さんから言われて、症状がなかなか改善しない場合、また、良心的なお医者さんの場合、「肩こりからきている」と、筋肉をほぐすお薬など出される場合もありますが、それでもなかなか症状が改善しない場合(いわゆる筋弛緩薬の、テルネリンやミオナールが処方されていることが多いですが、効く、という人は、経験上10人中2~3人くらいです)、是非一度、信頼のおける治療院で治療を受けられることをお勧めいたします。