肩甲骨は、肩関節や胸椎、腰椎といった身体全体の関節と密接な関係にあります。
人間の身体で、動きに適している関節のことを、「モビリティージョイント」といい、あまり動きに適していない関節のことを、「スタビリティージョイント」と分類する概念があります。
これに従うと、股関節は、モビリティージョイント、腰椎は、スタビリティージョイント、胸椎は、モビリティージョイント、肩甲骨、つまりは、肩甲胸郭関節はスタビリティージョイントになり、肩関節、いわゆる肩甲上腕関節はモビリティージョイント、となります。
このように、人間の身体は、下から、動きに適している関節(モビリティージョイント)と、適さない関節(スタビリティージョイント)が交互に存在している、と、考える考え方があります。
この考え方からいえば、肩甲骨は、動きに適してはいず、肩関節を動かすための、腕をしなやかに動かすための土台、と考えることができます。
肩関節がしなやかに、スムーズに動くためには、固定された土台が必要です。
その土台が、肩甲骨なのです。
人間の身体には、関節がたくさんあり、どこか動かしたい関節があったら、隣についている関節が安定してくれないと、動かしたい関節がスムーズな動きをしてくれません。
肩関節が主となって腕が動きますが、そのための固定面が、肩甲骨、というわけです。
人間の動作の中では肩甲骨がメインに動くことはありません。
肩甲骨も動きますが、肩関節ほどは動かない。
まずは、肩甲骨は、スタビリティージョイントで、腕の動きを出すための固定面である、という考えが基本となります。
しかし、バンザイの動作は、肩甲骨が動いてはじめて可能になります。
肩関節を自由に動かすための位置づくりをしているのが、肩甲骨で、したがって、肩甲骨は動かないといけません。
ただし、肩甲骨は、スタビリティージョイントで、固定した方が肩関節の動きはよくなります。
ただ、肩関節には、動ける範囲があって、それをコントロールする肩甲骨が動いてあげないと、人間の動作として、肩関節が動く範囲をカバーできないのです。
つまり、肩甲骨は、動かなくてはいけない。
そして、動いた位置で固定もしなければならない。
柔らかく動き、かつ力を発揮できるように強いスタビリティー性能もなければならない。
それが、肩甲骨、なのです。