いつもありがとうございます。
OKはり灸マッサージです。
久しぶりの症例報告です。
今回は、「肩が痛くて腕があがらない」症例です。
「肩が痛くて腕があがらない」と訴えられて来院される方は非常に多いです。
肩の関節はズレやすい
整形外科を受診すると、レントゲンを撮って、「骨には異常ない」と言われ、「四十肩」や「五十肩」と診断されるパターンが多いです。
そして、整形外科を受診しても、これといった有効な治療が施されることはほとんどなく、当院に来院される、というパターンがこれまた多いです。
そもそも論として、「肩が痛くて腕があがらない」症状を呈している時に、「骨に異常がある」ということはまずありません。
私(院長)の経験でも、病院勤務時代に、当時80代の女性が、「変形性肩関節症」と診断されていた1例のみしか「肩関節の骨に異常がある」症例を知りません。
そのくらい、肩関節の症状で「骨に異常がある」ことは少ないようです。
また、「四十肩」、「五十肩」と診断されていても、「いわゆる本物の四十肩・五十肩」ではない場合も多いです。
「本物の四十肩・五十肩」では、「肩関節の拘縮(こうしゅく)」と言って、肩関節周りの軟部組織が固まって、全方向に動きが制限されてしまっている状態の場合に診断されるべきものです。
が、実際に来院される方の肩関節が拘縮していない場合も結構多いのです。
肩関節は、非常に可動域が広い関節ですので、その分、いわゆる「関節のはまり」が浅いのが特徴です。
よって、ちょっとしたことで、「ズレやすい」関節です。
ほとんどのケースで、肩甲骨の関節の窪みに対し、上腕骨頭が、「前上方向」にズレています。
そういったケースでは、関節が全方向に可動域が制限されていることはなく、「腕をこうやって動かしたときにズキーンと痛い」といった訴えが非常に多いです。
つまり「本物の四十肩・五十肩」ではないケースも多い、ということです。
全身の鍼治療で肩が痛くてあがらない症状が改善した症例
今回、「肩が痛くて腕があがらない」という患者さんに、鍼治療を施し、顕著に改善した症例を報告させていただきます。
- 症状:肩が痛くて腕があがらない
- 肩関節の状態:拘縮なし
この方の場合も、痛い肩関節に拘縮は無く、肩甲骨の関節の窪みに対し、上腕骨頭が前上方にズレているケースでした。
この方の場合、全身に鍼治療を施すと、その時点で、症状は改善しました。
つまり、直接肩関節にアプローチすることなく「肩が痛くて腕があがらない」症状が改善したのです。
治効メカニズムとしては、
①上腕骨頭を前上方に引っ張っている筋肉・筋膜などが緩むことによって、ズレていた肩関節があるべき位置に戻った
②頚椎周りが緩むことにより、頚椎から肩関節に出ている末梢神経が緩み、痛みを感じなくなった
の2つが考えられます。
実は、この患者さんのように、「肩が痛くて腕があがらない」症状が、直接肩関節にアプローチしなくても改善する例は少なくありません。
私(院長)も多数経験しております。
なお、もちろん、全身治療を行った後に、直接肩関節にアプローチする必要があるケースもあります。
そういった場合は、上腕骨頭を前上方に引っ張っている「肩関節周囲の腱や靭帯」などを緩めることにより、症状が改善することが多いです。
なお、こういった「肩が痛くて腕があがらない」症状と、スポーツ障害である、野球における投球障害肩、をはじめ、バレーボール、ハンドボールなどの、いわゆる「オーバーヘッドスポーツ」での肩関節の痛みも、ほぼ同様の状態を呈していることが多く、さきほどの患者さんと同様の施術で症状が改善するケースは多いです。
ただし、肩関節は、前述のように、関節のハマりが浅い関節ですので、非常にズレやすく、したがって、施術により改善しても、また同じように関節がズレてしまい、症状が再燃する場合もあります。
ただ、このことは、厳密に言えば、身体中のあらゆる関節について言えることですので、肩関節だけが特別、ということではありませんが、他の関節よりもちょっとしたことでズレやすい、ということは言えるようです。
このように、「肩が痛くて腕があがらない」という症状でお困りで、他の施設で改善しない方は、一度、OKはり灸マッサージの鍼治療をお受けになることをお勧めいたします。
なお、「本物の四十肩・五十肩」の場合も、事の始まりは、「肩甲骨の関節の窪みに対し、上腕骨頭が前上方にズレる」という現象だと私(院長)は考えていますので、肩関節の拘縮がある場合でも、治療効果はある場合が多いです。
ただし、当然、拘縮がない場合よりも、改善に時間がかかることが多いです。
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