基礎研究では、気圧低下は、交感神経活動優位の状態をきたし、高気圧は、副交感神経優位の状態をきたすことがわかっています。
一方、天候不順に関連した低気圧下では、徐脈、顆粒球減少、リンパ球増多、尿中アドレナリン減少、など、副交感神経活動が高まり、体がだるく、滅入った気分になり、良好な天気に関連した高気圧は、線条体のドパミン放出亢進、末梢カテコールアミン分泌亢進、顆粒球増多、など、交感神経活動が高まり、体はシャキッとし、壮快な気分になる、という報告もあり、これは、日常における体験と一致し、合点がいく説だと感じます。
交感神経緊張が病気の原因、と、よく悪者にされる交感神経ですが、当然人間にとって、交感神経活動も副交感神経活動も同じように大事なものに間違いなく、適度な交感神経活動は、心身に活を入れた状態になり、気分もハイで壮快、活動時には欠かせない機能であることは論を待ちません。
要は、交感神経活動も副交感神経活動も、ともによく機能し、かつ、どちらかが優位になるべき時にしっかり反応し切り替わりも早い状態が、いわゆる元気で健康な状態、といえるでしょう。
昼間は元気に活動できて、夜はぐっすり眠れる。
このような自律神経機能の状態が、最も理想的な状態、といえるでしょう。
鍼灸治療は、このような自律神経機能に近づくためのお手伝いができる、他に類をみない強力な治療法、ということがいえます。
私は、あらゆる症状・病気を「自律神経機能」の観点から観察し、分析するようにしていますが、鍼灸治療は、自律神経機能をコントロールする能力に非常に長けた治療法である、と確信しています。
今までの、多くの治療経験から、そう断言できるのです。