鍼灸治療により、自律神経機能の変調が改善されます。
体表に与えられた鍼灸治療の情報は、体性感覚神経を介して脳に伝えられます。
各種自律神経機能が、体性感覚刺激によって、反射性に変化します。
体性感覚を求心路、自律神経を遠心路とするこの反射は、「体性ー自律神経反射」と呼ばれます。
鍼灸治療は、この、体性ー自律神経反射、によって、自律神経機能を反射性に変化させます。
施術方法や刺激量を、絶妙にコントロールすることで、その患者さんの自律神経機能の変調を改善する方向へと導こうということこそが、鍼灸治療の神髄、ということがいえるのです。
ただし、実験動物と違い、生身の人間である患者さんは、「情動」を伴っています。
この情動が、時に、鍼灸治療の効果を左右します。
非常に鍼灸治療に期待し、施術者のことも信頼・信用している場合、より多くの効果をあげることが可能となります。
逆に、鍼灸治療に半信半疑で、施術者を信用・信頼できない場合、効果は半減します。
これは、「プラセボ」ではなく、「情動」のなせるわざなのです。
情動が、体性ー自律神経反射を促進したり、逆にブロックしたりするのです。
優れた鍼灸師は、この患者さんの「情動」までも把握し、より効果が出やすくなるように導く能力に長けています。
技術ももちろん、「人間性」がもろに問われる職業である理由がここにあるのです。
よって、鍼灸師は、知識の勉強、技術の研鑚、を日々精進するのは当たり前で、それ以上に、人間として、いかに成長し、患者さんから信用・信頼されるか、が、最も問われるところとなるのです。
どの点をとっても、まだまだ未熟者の私ですが、「やる気」だけは誰にも負けないように、毎日気合入れて頑張らなければならない、と考えています。