野球肩は、非効率的な投球動作が原因となり引き起こされることが多い、といえます。
効率的な投球動作は、軸脚への体重移動から始まり、軸脚で蹴り出す力によってステップ脚へ体重移動を行い、ステップ脚に力を伝えます。
次に、ステップ脚に伝えられた力は、股関節を中心とした骨盤と体幹の回旋運動へと転換されます。
体幹に伝えられた回旋力は、肩関節内旋、肘関節伸展、前腕回内へと伝えられ、最後に、手指からボールへと力が伝わり投球されます。
しかし、非効率的な投球動作では、そのような、下肢から、骨盤、体幹への連動による力の伝達を利用せずに、肩関節内旋、肘関節伸展、前腕回内、手関節掌屈に依存して投球している傾向がみられます。
そのような、上肢運動に依存した投球動作が、肩関節の機能不全を引き起こし、野球肩を発症させる、と考えられます。
したがって、野球肩に対する治療は、肩関節機能を把握するだけでなく、投球動作における、下肢、骨盤、体幹の使い方に問題がないかを把握することが重要となります。
つまり、肩痛の原因は、必ずしも肩関節機能にあるとは限らない、ということがいえます。
効率的な投球動作は、下肢、体幹からの連動によって投球側の上肢が振られて行われます。
そのため、投球動作における下肢、骨盤、体幹の使い方に原因があることも多いのです。
もちろん、投球動作は、一人ひとり異なり、個性があるものです。
ですが、必ず、共通した効率的な投球動作、というものがあるはずです。
野球肩を治療するには、投球動作のなかで動作改善を行うことが、より効果的で、投球動作を改善するためには、共通した効率的な投球動作、を理解することが重要となるのです。