スポーツ選手の腱板断裂は、一般の腱板断裂に比べ、若年者に多く、関節面の不全断裂が多い傾向にあります。
野球、テニス、バレーボール、などの、スローイングアスリートに多くみられ、解剖学的には、棘上筋と棘下筋の移行部の腱板関節面での不全断裂が多い、といわれています。
スローイングアスリートの発症は、一回の外力での受傷によるものではなく、繰り返される投球動作や打球動作がもたらす微細損傷により、徐々に進行していき、断裂に至る、と考えられます。
スローイングアスリートでは、投球動作で生じる、インターナルインピンジメント、が、腱板断裂に関与する、とされており、肩関節前方関節包のゆるみが発症機転となり、インターナルインピンジメントや、肩関節上方関節唇損傷(SLAP損傷)が生じる、という報告もあります。
また、肩関節後方関節包の拘縮が上腕骨頭を後上方に押し上げ、上腕の過外旋を引き起こし、上腕二頭筋とSLAPのピールバックや、腱板の過剰な捻転により、腱板断裂やSLAP損傷を生じる、という報告もあります。
オーバーヘッドスポーツの代表である、野球、の投球側における腱板断裂は、退行変性による腱板断裂に比べ、若年者に発症し、繰り返されるメカニカルストレスが、棘上筋と棘下筋の移行部に生じることで、元来血流が乏しい関節面側よりの腱板に断裂が生じる、と考えられます。
よって、投球動作における関節面断裂は、部分断裂でとどまることが多く、完全断裂に移行するのは稀である、といわれています。
腱板の活動は、肩甲骨の可動性および固定性に大きく影響を受け、また、胸郭、脊柱の可動性にも影響を受けます。
腱板へのストレスは、姿勢や動作の仕方により、変化します。
円背や骨盤後傾位の姿勢や、その姿勢での動作は、腱板機能低下につながります。
ところで、肩関節が痛くて腕が挙がらない、といって、近医の整形外科などを訪れて、レントゲンをとって、「骨に異常はありません」と言われ、痛み止めやシップ、せいぜい注射で対応され、それ以上何も対応されない、または、痛いのにとにかく動かせと言われ余計痛くなる、という話が後を絶ちません。
肩関節の痛みは、端的に言えば、肩関節を動かすインナーマッスルとアウターマッスルのインバランスが原因、といえますので、レントゲンで骨に異常がある確率はかなり低く、当然といえば当然の話です。
整形外科のお医者さんは、どうも関節局所しか診ない傾向があり、それも、骨、がどうなっているか?しか思考が及んでいないように感じられます。
特に肩関節においては、周囲の多くの筋肉の絶妙な動きのバランスが崩れることが原因で、肩関節の問題が発生しますし、さらにその問題は、全身のあらゆる皮膚・筋膜・筋肉・関節と関連していますので、「どうしてその問題が発生したのか?」と臨床推論することが非常に重要ですが、どうも、整形外科のお医者さんは、そういった、全身と関連づけながら局所を診る、という思考訓練はなされていないように感じます。
「軽い五十肩」と診断され、特に有効な治療も施されず、我々のような治療院を訪れて、改善することはよくあることですが、この場合においても、腱板損傷(腱板断裂)が隠れていることは、時々見受けられ、肩関節に造詣の深い病院を紹介し、再度診ていただくと、「切れていました」となることは、時々経験します。
要するに、五十肩、と安易に診断されている中に、この腱板損傷(腱板断裂)が見逃されていることは、少なくありませんので、特に、「じっとしていても痛い」「夜痛くて寝られない」症状が続き、いつまでたっても良くならない場合、一度は、この腱板損傷(腱板断裂)を疑うことが大事、と考えます。
私(院長)は、あらゆる症状、疾患、に興味があり、できるだけ多くの症状・疾患に対応できるようになりたい、と、いつも考えていて、そのための勉強を日々継続しております。
特に、肩関節の問題は、関心が高く、肩関節のエキスパートになりたい、という思いも強いです。
肩関節の問題が長期にわたり解決されない場合、是非一度、OKにご相談下さい。
肩関節に造詣が深い病院も、津山から行ける範囲で、2軒ほど知っており、場合により、紹介もさせていただいておりますので、安心してご来院ください。