人間国宝、坂東玉三郎は、ご覧の通り驚異の身体能力の持ち主です。
この人間国宝に手ほどきをされていたのが、故・伊藤昇です。
伊藤昇は、まだ「体幹」という言葉が無かった時代、「胴体力」という概念を提唱し、胴体を「伸ばす、縮める」、「丸める、反る」、「捻じる」、という3つの動きをすることによって、背骨、肋骨、骨盤、からなる胴体が自由に伸びやかに動くようになることにより、驚異的な体、本当に動ける体、健康な体、を手に入れることができる、とし、「胴体トレーニング」を開発されました。
年を取ると、人間の背骨は少しずつ動きが悪くなり硬くなってきます。
背骨が一本の棒のように硬くなってしまうと、体の各部位を痛めやすくなってしまいます。
背骨が柔らかければ、背骨の柔らかさが伝わって、胴体がしなって力をだせます。
骨盤の中を通っている腸腰筋が動きの要になり、スポーツや武術や舞踊などのパフォーマンスが向上します。
背骨のしなりを使うには、肋骨も閉じたり、開いたり、提灯のように動かせなければいけません。
また、骨盤、股関節での体の捉えができて軸がしっかりできていることが大切です。
こういったことが、胴体力の基礎理論です。
近年のトレーニング領域でも、「体幹主導」、という概念があり、体幹がしっかり動けていないと、手脚も思うように動かせない、ということが言われるようになってきています。
坂東玉三郎、とまではいけなくても、胴体をうまく動かせるようになる「胴体トレーニング」、是非日々のトレーニングに取り入れたいものです。
OKはり灸マッサージに来院される患者さんはもちろん、私(院長)を含め、現代日本の多くの人が、背骨の柔軟性が低下しています。
まるで一本の棒のように硬くなってしまっているのです。
それでは、体のあちこちに不快症状がでるのも当然ですし、運動能力の向上を望めません。
日常的に、いかに背骨をゆるめておけるか、が、その人のQOL、ADLを決める、と言ったら言い過ぎでしょうか?
参考文献:伊藤式胴体トレーニング 胴体力入門