中枢感作症候群(Central Sensitivity Syndromes)とは、文字通り、中枢(脳)が過敏になったことにより起こる様々な病気・症状を包括する概念です。
この中枢感作症候群の代表的な3疾患が、
- 線維筋痛症
- 機能性胃腸症
- 慢性疲労症候群
です。
これらは、それぞれ違う疾患と捉えられていますが、病気を疾患として診るのではなく、症状で診ていくと、同じような症状をもっています。
似た症状は、疾患名から診るというよりも、症状からまとめていくほうが合理的であろう、という考えのもとに、主に、欧米で提唱されている概念なのです。
検査で医学的原因が見当たらない
これらに共通しているのは、症状を呈する原因が医学的検査で見当たらないにも関わらず、症状が存在しているということです。
こういった疾患を、機能的疾患といいます。
こうした、機能的疾患の原因が脳にあるというのが、時代の趨勢です。
腰痛なども脳機能と関連があると禁煙では考えられている
腰痛でさえ、近年は、この脳機能の異常を重要視するようになってきています。
原因不明の、特異的腰痛に限らず、腰椎椎間板ヘルニア、のような、明らかな器質的疾患でさえ、この脳機能の影響を大きく受ける、という考え方が、時代の主流になってきています。
前頭葉、大脳辺縁系、自律神経、セロトニン、ドパミン、などが、必ずキーワードとして登場します。
鍼灸は脳の中枢にも働きかける治療法
鍼灸治療は、セロトニン、ドパミン分泌調整機能、自律神経調節機能、脳神経系過敏性の抑制、など、この時代の趨勢にドンピシャの効果を持つ、古くて新しい治療法、ということが言えます。
尊敬するベテラン鍼灸師である、首藤先生は、伝統鍼灸治療家でありながら、「鍼灸治療は、脳に一番効く」とおっしゃっています。
私の日々の臨床においても、常に、この中枢である「脳」を意識して施術を行っております。
そうした方が、より効果的な治療ができる、と感じています。
ちなみに、鍼灸治療には、現代派、古典派、など、様々な流派がありますが、私は、使えるもの、使える思考は何でも取り入れ、鍼灸治療自体の絶大な効果を信じる「鍼灸派」です。