骨盤には、背骨と下肢が連結しています。
多くの人は、股関節から下を下肢と考えていますが、股関節は、骨盤を構成する寛骨と大腿骨頭が関節する部分ですので、正しくは寛骨(腸骨)から下、仙腸関節から下を下肢と考える方が人間の動きからは理に適っているといえます。
この仙腸関節ですが、近年注目されるようになり、一般の方でも、その名称をご存じの方は多いようです。
ところで、腰痛は、1934年の椎間板ヘルニアの発見以来、腰痛の原因は椎間板である、という認識が浸透しました。
それが、最近になって、MRIなどの画像技術の発達により、椎間板ヘルニアが消失することがあることがわかるようになったり、ヘルニアがあっても腰痛が全くない人、逆に、腰痛に長年悩まされているが、椎間板に異常所見は見当たらない人が多くいることなどがわかるようになり、近年、仙腸関節に注目する人が増えてきたようです。
この仙腸関節は、骨盤を構成する、仙骨と寛骨(腸骨)を関節する関節ですが、背骨や股関節の動きと連動しながらわずかに動くことは、半ば常識になりつつあります。
この仙腸関節が腰痛をはじめとした様々な痛みや機能障害の原因である、という考えの医師や治療家の方もいるようです。
骨盤には、多くの靭帯や筋肉が付着していますが、骨盤から下腿の鵞足(がそく)という同じところに付つく3つの筋肉があります。
骨盤の寛骨を構成する、腸骨から縫工筋、恥骨から薄筋、坐骨から半腱様筋です。
この別々の3か所から、鵞足という一か所に集まるこれらの筋肉は、体幹、骨盤、下肢のセンサーの役割を果たしている、と考えられます。
これらの細長く縮みやすい筋肉をストレッチして、股関節以下の下肢と脊椎をつなぐシステムの調整を行う骨盤自己調整法としての効果があるのが、「真向法(まっこうほう)」といえます。
私の普段行っているストレッチも、この真向法を基礎として、それにプラスアルファのストレッチを加えたものです。
これを行うとき、股関節周囲筋群がストレッチされる感覚とともに、仙腸関節の動きも感じながら行っています。
当然、腰椎、胸椎など背骨も動くのを感じます。
体の要は、やはり、腰椎ー骨盤ー股関節からなる、骨盤複合体、と考えられますので、それらを日々調整することは、大切なことと考えています。