肩関節の痛みや可動域制限や、テニス肘などの肘関節の痛み、と、胸郭出口症候群が合併していることがままあります。
胸郭出口症候群とは、上肢にいく神経が、その通り道の途中で、緊張した筋肉などによって圧迫を受け、上肢にしびれや運動麻痺を引き起こす疾患です。
頚椎から肋骨につながる斜角筋や、鎖骨と第一肋骨を結ぶ鎖骨下筋や、肩甲骨烏口突起から肋骨につながる小胸筋などが直接的な原因になりますが、これらの部位は、肩関節や肩甲骨の動きとも密接に関係するため、胸郭出口症候群と五十肩が合併していることがあるのです。
また、肘や手などの、一見関節の痛みにみえる症状も、その元をたどると胸郭出口で上肢にいく神経が圧迫されることで、二次的に引き起こされていることがままあり、胸郭出口での神経の圧迫による緊張をゆるめることで、そういった症状が即座に改善されることがあります。
首肩こりと五十肩、上肢の症状は密接に関係していて、常に、頚椎、肩関節、肩甲骨、胸椎、それらに付着する筋肉、そこを通る神経、など、3Dで見通せる解剖学の知識は必須のもので、その知識をもとに触診で確実に異常部位を見つけることができる触診力もまた必須となります。
いつも言っていることですが、その局所的不具合と全身を、連動性、という見方で常に俯瞰的に見通す能力もまた求められるものです。
それには、基礎医学である解剖学と、こういう場合はここを触ればいいという経験と、ここをこうしたらどうだろうかという感性が必要となります。
患者さんの訴えるところをもむだけては、つらい症状の改善は難しいのです。