肩が痛くて腕が挙がらない、と一言で言っても、様々な原因を想定する必要があり、即五十肩、と即断してはなりません。
少し前に首肩が痛くて腕が挙がらない、と来院された方がおられますが、評価してみると、肩関節の拘縮はなく、腱板断裂でもなさそう。
でも、腕が挙がらない。
手にも力が入らないとのことで、これは首になんらかの原因があり、神経を圧迫もしくは牽引して出ている症状だ、と推測しました。
それでも、2回の鍼灸治療で痛みはかなり軽減し、腕も挙がりやすくなった。
3回目の来院時、その前に整形外科に行き、頚椎椎間板ヘルニアだった、とおっしゃり、「やっぱりか」と思いました。
が、症状は随分良いそうで、整形外科で出たお薬と併用しながら今後も鍼灸治療を継続するとのこと。
このように、頚椎椎間板ヘルニアから来る神経症状であっても、鍼灸治療は有効です。
ここのところ、首肩から腕にかけて痛む、という方のご来院がなぜか立て続いていて、そのほとんどが、やはり、頚椎椎間板ヘルニア、と判明しました。
それでも、鍼灸治療が有効であるので、ほとんどの方が整形外科の薬物治療と併用されて治療を継続されています。
昨日も、首肩から腕にかけて痛む、という方が、新規に来院されました。
鍼灸治療が有効で、痛みは直後は消失しました。
が、これで治ってしまうことはほぼなく、おそらく痛みはぶり返すだろうこと、そして、少しづつ良くなっていくので、何回か継続して治療すればおそらく良くなるであろうことをお伝えし、様子をみて、また痛むようだったら来院するようにお伝えしました。
この方も、冗談ぽく、「同僚からヘルニアじゃないかと言われる」とおっしゃっていたので、「その可能性は十分あると思います」とも、お伝えしておきました。
このように、頚椎椎間板ヘルニアによる、痛み・しびれ・運動麻痺、にも、鍼灸治療が有効な場合が少なくありません。
特に、力が入らないといった運動神経の麻痺症状も、頚椎椎間板ヘルニアから出ることがある、ということを、一般の方はご存知ない方が多く、治療家であっても、肩が痛くて腕が挙がらない、と言えば、即五十肩、と判断される人もいると思われます。
肩が痛くて腕が挙がらない、といったよくある症状も、様々な原因で発生することがあり、それをきちんと判断し、場合によっては、すみやかに病院を紹介する必要がある、ということを、治療家は肝に銘じておく必要があるのです。