耳鳴り、めまい、アレルギー性鼻炎、などの、顔面部の症状に対して、OKではよく「頚部交感神経幹近傍刺鍼」を用います。
頚部の前面深部の頚椎横突起前面両側に頚部交感神経幹が上下方向に伸びるように存在しています。
特に、顔面部の自律神経・免疫系に関わるこれらの症状の鎮静化を狙って、直接頚部交感神経幹の近傍を刺激する、という方法です。
交感神経幹を直接刺激する、とは言っても、ペインクリニック領域の「星状神経節ブロック」のように、本当に直接針先を組織に当てるのではなく、直径0.12mmの極細い鍼を、胸鎖乳突筋内縁から5~10mm以内刺入する程度のソフトな刺激で十分に交感神経幹に刺激は伝わり、痛みなく十分効果を出すことができます。
頚部交感神経幹と内頚動脈に刺激を与えることによって、頭顔面部から、うまくいけば上肢の症状にも効果が及びます。
これらの自律神経・血管とともに、前頚部深層筋である「頚長筋」にも刺激が伝わり、ガンマ神経調節刺激ともなり、首肩こりの改善にも非常に効果が高い治療法です。
元々、頚長筋の筋緊張と自律神経機能とは密接な関係があると考えられるので、この頚部交感神経幹近傍刺鍼で、首肩こりという運動器症状と、耳鳴り、めまい、鼻炎、という、自律神経症状・免疫系症状と、同時に改善できる優れた治療法ということができます。
ちなみに、この、運動器症状と自律神経系症状と免疫系症状とは、本来密接にリンクしていますので、各系に同時に効果があるということは、鍼灸治療全般に言えることです。
この本来の効果を、よりターゲットを絞って行う施術法が、頚部交感神経幹近傍刺鍼だといえるでしょう。