「こころ」と「からだ」は不可分のものであり、切り離しては考えることはできない、という概念を「心身相関」といいます。
心身医学領域の概念ですが、中国伝統医学も根本的にこの立場に立った医学です。
疾患・病気・症状を、身体的側面と心理的側面に線を引いたように分離することは、そもそも不可能です。
あらゆる病気・疾患・症状は、多かれ少なかれ心身相関があり、その症状の訴え方は心理社会的要因の影響を受けます。
この患者さんは精神疾患で、あの患者さんは身体疾患です、とはっきりと区別することの方が難しいのです。
「こころ」と「からだ」は密接につながっているのです。
心身医学では、こころとからだを結ぶ役割を果たしている中枢神経系と生体機能調整系(自律神経系、内分泌ホルモン系、免疫系、炎症反応系)の働きを重視しています。
心理社会的なストレスにさらされ、適応と性格の問題も加わりそのストレス反応に抗しきれなくなると、ホメオスターシス(恒常性維持機能)が崩れて機能的・器質的な身体病変をていする。
この状態が、一般的に「心身症」と考えられています。
心身症の病因を理解する上で、「過剰適応」という概念がキーワードの一つとなります。
「適応」とは、「人」と「環境」の組み合わせです。
「人」だけが悪い訳でも「環境」だけが悪い訳でもなく、両者のバランスが悪いことが問題になるのです。
簡単に言えば、厳しいと内心思いながらも無理して環境に合わせすぎるとついには体が悲鳴をあげる、ということです。
もう一度言います。
「こころ」と「からだ」は密接につながっているのです。