よく歩行時にふくらはぎが痛いといって来院される方がおられます。
膝痛と合併している場合も多いです。
これらの場合、ほとんどが、歩行のサイクルで痛い脚が後ろにいっている時、つまり、足関節は背屈しふくらはぎは伸張性収縮(筋肉が伸ばされながら収縮する)された時に痛いというケースが多いです。
さてどう治しますか?
「ふくらはぎをもむ」。
それもある意味正解かもしれません。
が、人間の動作時の痛みを考える時、筋肉、関節、筋膜・皮膚、血管、神経、と総合的に考えていかなければ良い治療に結びつかないことが多いです。
「痛いとこをもむ」という素人でもできることばかりで対応してたら「治療のプロ」ではないでしょう。
この場合、足関節と膝関節と股関節と骨盤(仙腸関節)と腰椎までは最低みないといけません。
特にふくらはぎの上下の関節である足関節と膝関節には必ず不具合があります。
まず膝関節(厳密には大腿脛骨関節)の伸展時のスクリューホームムーブメントという本来の動きが失われている場合が多く、その場合、大腿骨に対する脛骨の後方への滑り運動が制限されています。
アキレス腱を触診すると健側よりタイトで足関節の背屈制限がみられます。
主な足関節背屈筋である前脛骨筋とふくらはぎ(下腿三頭筋)の前後の拮抗筋が引っ張り合っている、スムーズに拮抗動作が出ておらず、これは足関節と膝関節の不具合と連動しています。
このように、筋肉部の痛みでも、常に関節を考慮しないといけません。
このふくらはぎの上下の関節の動きを正常化してやれば、自ずと前脛骨筋もふくらはぎもゆるみ、筋作用も正常化し、痛みは消失します。
これをほおっておいて更に強度の高い動作をすると、ふくらはぎの肉離れ、アキレス腱損傷、足関節捻挫、膝関節損傷、のどれかにつながるのです。
こういった思考、臨床推論を常に全身に対して行い、痛みの原因と治し方を瞬時に判断しながら限られた時間内で結果を出す。
生易しい仕事ではないです。