肩甲骨の存在は知っているけれども、普段肩甲骨を意識することはない、という人が大半ではないでしょうか?
治療家においても、肩甲骨を意識するときは、せいぜい五十肩の治療のときくらい、という人もおられるでしょう。
とある著名な整体師は、病症を呈している身体はすべて例外なく肩甲骨が固まっている、と多くの臨床経験からそう結論づけています。
肩甲骨は健康のバロメーターのようなもので、肩甲骨を本来の状態に戻すことで身体の不調は改善される、と主張されているトレーナーもおられます。
肩甲骨は四肢の動きや姿勢を保つのに重要な役割を果たしているようです。
多くの人で、この肩甲骨は、体の奥に引っ込んで、動きが悪くなっています。
肩甲骨は本来肋骨の上に浮かぶ島のような存在で、本来は自由に動くべき骨であるのに、この肩甲骨が凝り固まってしまっている人が非常に多いということです。
肩甲骨は、本来、上下左右に想像以上に自由に動くべき骨ですが、近年、運動不足や長時間にわたるデスクワークなどの影響で、肩甲骨が正しく動かない、体にくっついて狭い範囲しか動かない人が増えているのです。
肩甲骨の周囲には、大小の多くの筋肉、腱、靭帯、関節、血管、などが集まっているため、肩甲骨が動かない状態では、それらの本来の機能が失われ、肩こり、腰痛、頭痛、だるさ、など、慢性的な身体の不調を誘発している可能性があります。
また、胴体と腕をつなぐ役割を果たし、上半身の主要な筋肉と連結している肩甲骨と、身体の中心にあり、上半身お下半身をつなぐ、土台のような役割を果たす骨盤は、相互に連動しています。
肩甲骨も、骨盤も、その周囲に身体を動かす重要な筋肉が集まっているため、裏を返せば身体の歪みを作りやすい部位ともいえます。
骨盤は二足歩行の人間が活動するための礎であり、その状態は、肩、背骨、首、股関節、などの状態に大きな影響を及ぼします。
特に、肩甲骨と骨盤が挟む形で決定付ける背骨のアライメントの歪みは、身体の様々な部位で起こるこり・痛みなどに直結します。
こり・痛みのない身体を実現するには、この肩甲骨と骨盤の本来の位置や動きを獲得することが重要になる、ということです。
骨盤・股関節周りの自力整体である「真向法」と、肩甲骨に本来の自由な動きを付ける「肩甲骨はがしストレッチ」を同時に行うことで、こり・痛みのない身体を実現することが可能となるのです。
骨盤と肩甲骨の二大重要部位に限らず、全身のあらゆる部位は相互に連動しています。
この事実は、やはり自力整体であるストレッチを身体の隅々まで実践することで実感できます。
ストレッチの有害性を吹聴する人たちの意見を鵜呑みにする前に、是非、ご自分で実践してその是非を確かめてください。
また、最近では、筋トレの有害論・不要論まで吹聴する人が、誰とは言いませんがスポーツトレーナーにもいるのには驚きを禁じえません。
あの短距離界の超有望株もあやうく引っかかりそうになった「骨ストレッチ」考案者(言っちゃった)など。
ちなみに、やり方にもよると思いますが、いわゆる「筋トレ」は、ただ単に筋肉を肥大させる目的で行うものではなく、筋肉に一定の負荷をかけて動かすことにより、神経ー筋機能を促通するものです。
筋トレを有効に行うことで、全身の筋肉に刺激が入り、これまたこり・痛みを改善する作用がありますし、関節の動きをよりなめらかに動かせるようになります。
ただ、筋トレのやりっぱなしでは、骨格アライメントに左右差などの異常が出る恐れがあるため、筋トレ前後では、是非ストレッチを十分に行うようにお勧めいたします。
話を肩甲骨に戻しますが、今年50歳で引退した山本投手は、肘が曲がったままで固定されてしまっていましたが、この肩甲骨を自由に動かすエクササイズを取り入れて、あの投球に結び付けていたようですし、大谷投手や前田投手の肩甲骨の柔らかさも有名です。
彼らのような、素晴らしいパフォーマンスを魅せる、しかも怪我をあまりしないアスリートから、いかにこり・痛みのない身体を実現するか?を我々のような一般人も参考にすることがおおいにできる、と考えています。