現代整形外科医学領域における腰痛に対する研究は、この20年ほどの間に飛躍的に進み、これまで常識とされていたことが、実際には間違っていたり、医学的には根拠のないことだったりすることを紹介してきました。
繰り返しになりますが、腰痛で医療機関を受診する人の85%は、様々な検査をしても原因がはっきりしない「非特異的腰痛」といわれています。
多くの人が抱える慢性腰痛や、ちょっとしたきっかけで起こるぎっくり腰も、非特異的腰痛に含まれます。
つまり、現段階では、慢性腰痛やぎっくり腰の「真の正体」は、明らかになっていないのです。
Ⅹ線やMRIなどの画像検査から得られる異常を腰痛の症状と関連付けて、正確に「この異常が腰痛の原因です」と言い切る事は、現段階ではできないのです。
なぜなら、腰痛がない人でも、X線やMRI画像で、骨にずれがあったり、椎間板がすり減っていたり、ヘルニアが見つかったりするからです。
ですので、お医者さんが画像検査の結果を見て、「骨が変形している」「椎間板が傷んでいる」「骨のずれがある」「ヘルニアがある」と言ったとしても、それが腰痛の原因であるとは言い切れないのです。
骨の変形やヘルニアがあっても、腰痛に悩まされることなく、元気に過ごしている方はたくさんいますし、逆に、腰痛があるのに、画像では異常がまったく認められない場合もあるのです。
つまり、病院で通常行われる画像検査は、骨や椎間板といった組織の変化は見ることができても、痛みの原因をすべて解明することはできないのです。
1980年代までは、腰痛を引き起こすのは、「ケガや腰に負担のかかる姿勢、動作など、腰椎への負荷によるものである」という考え方が前提となっていました。
重い物を持つなど、腰に負担のかかる姿勢や動作のみが、腰痛の主な原因であるという考え方です。
しかし、近年、腰痛が発生したり、慢性化したりする背景には、腰への負担だけでなく、精神的ストレスなど、心理・社会的な問題が大きく関与していると言われるようになってきたのです。
これは、「腰痛はこころが原因」であるとか、「心が弱いから腰痛になる」ということではなく、「脳機能の不具合(脳dysfunction)」が、腰痛に関係しているという意味です。
ストレスにあふれた現代社会においては、誰にでも脳機能の不具合が起こり得ます。
また、体の痛みが心の不調を招き、心の不調がまた痛みを増幅する、ということも起こり得ます。
近年の最先端の治療では、腰痛に対する治療においても、ただ単に「腰」だけをみるのではなく、「脳(こころ)」の状態も鑑みながら、トータル的に治療にあたっていきましょうという方向性になってきているのです。
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