整体やカイロプラクティックなどの、いわゆる代替療法の世界では、昔から「首」は非常に大事な部位で、全身に影響を及ぼす、と考えられてきました。
カイロプラクティックの領域では、ホールインワンテクニック(スペシフィックカイロプラクティックともいいます)、といって、あらゆる症状を、上部頸椎(第一と第二頚椎)の調整だけでアプローチする、という方法があります。
しかし、近年、お医者さんでも、この「首」の重要性に注目する方が出てきました。
「首を温めると万病が治る」の著者である、沼田光生先生は、元々脳外科医ですが、大阪大学附属病院の特殊救急部という最前線に立ちながらも、西洋医学の限界を思い知り、「頚椎を調整して脳幹を活性化する」という治療法に辿り着かれました。
「頚椎や首の筋肉を調整することで、脳幹を活性化し、その結果様々な病気が改善する、」と主張されています。
また、これまた、脳外科医の、松井孝嘉先生は、「首こりが万病の元」と提唱され、「頚性神経筋症候群」という疾患概念を提唱されています。
また、整形外科専門医からカイロプラクターに転身された、松久正先生、も、第一頚椎横突起を自分で押すことで、病気を治す、という方法を提唱されています。
このように、頚椎、特に、上部頸椎、は、脳幹、と密接に関係し、その歪みは脳幹の機能を低下させ、あらゆる心身の不調や病気を引き起こし、また、その逆の、歪んだ上部頸椎を調整すれば、あらゆる心身の不調や病気を治すことができる、と、複数のお医者さんが情報発信するようになりました。
こういったことは、はたして本当なのでしょうか?
私の考えは、「あると思います(古)」です。
当院でも、基本的に、ほとんどの患者さんの頚椎を触診し、歪みがないか診させていただいております。
ただし、歪みが確認できたからといって、即、調整する、とは限りません。
むしろ、手足などの末梢からアプローチし、アプローチするとしても、基本的に最後にアプローチします。
私も、先の先生方同様、頚椎、特に、上部頸椎、は、非常に大事な部位、と考えていますので、下手にいじると、余計に悪くさせる可能性がある、と考え、非常に慎重にアプローチするか否かを判断しています。
アプローチする場合も、カイロプラクティックのように、スラスト、といって、瞬間に強い力を加えるような手技はしません。
基本、仰向けで、優しく気持ちよい刺激で、自然に首の筋肉が緩むのを待ち、首の筋肉が自然に緩み、頚椎が触診しやすくなったところで、歪みの箇所に指を保持し、これまた自然に頚椎の歪みが調整されるのを待ちます。
このアプローチ方法で、調整されることが多いですが、時に、頑固で変化しない場合でも、モビリゼーション、といって、緩やかに歪みの箇所にアプローチする方法をとり、決して、痛みや不快感を与えないようにしています。
鍼でアプローチすることも可能ですが、体質により、直接アプローチしていい場合と悪い場合がありますので、これまた慎重に見極めます。
あえてアプローチせずに、そのままにしておく、という方法も、大事な選択である場合もあります。
OKはり灸マッサージでは、「首」を非常に重要視しますが、アプローチ方法はケースバイケースで、お一人お一人に合わせて、慎重にアプローチしています。