肩が痛くて腕が上がらないという症状と、その原因について、これまで記事にしてきました。
今までの記事では、肩関節周辺にスポットをあてていましたが、 OKはり灸マッサージでは、視野を広げて、肩関節周辺だけでなく、 全身を診て施術しています。 局所だけ診るより全体を診た方が、 圧倒的に治療効果が良い場合が多いからです。 今回は、その症状を治すための、全身の調整アプローチについて、具体的にご説明します。
患部だけでなく全身をみるという現代のリハビリテーション分野の流れ
リハビリテーションや、スポーツコンディショニングの分野では、 ここ数年、さかんに「運動連鎖」という言葉が使われるようになっています。
身体全体はすべてつながっていて、 患部・各部位だけを見るのではなく、 身体全体の関係性をみていこう という流れになっています。
例えば、投球障害肩では、 下半身、特に股関節の柔軟性が悪い場合が多いので、 必ず上半身だけでなく下半身もチェックしましょう、 というような流れです。
「局所だけではなく、体全体のつながりをみる」 という流れは、非常に素晴らしく、良いことだと思います。 しかし、リハビリテーション分野での運動連鎖の診かたは、 その全体のつながりの診かたに関して、 私には、理論的一貫性に欠けていると感じられる点があります。
リハビリテーション領域、スポーツトレーナー領域の 診かた、治し方は、非常に参考になるものがあって、 実際の臨床に取り入れさせていただいているものもたくさんあります。 ですが、全体のつながりの診かたについては、 理論的な一貫性に関して不十分と感じる部分があるので、 私は、「整体学」的診かたを、より多く参考にしています。
OKはり灸マッサージの全身の診かたと治療スタイル
整体学的な診かたに基づいて、実際にどのように診ているのか、 おおまかに言いますと、 骨盤―腰椎―股関節の連動 を中心に、 上は、 胸椎―肩甲骨―肋骨―鎖骨―頸椎―頭蓋骨の連動、 下は、 足関節―足指関節―までの連動、 上肢も、 肘―手関節―手指関節までの連動 を診ています。
要は、全身の連動を 「特に肩関節に症状があるからということに関係なく」診ていき、 それらの連動性バランスを整えることにより、 自然に身体全体の各関節はゆるみ、 結果的に、症状のある部位である肩の症状も改善している という流れです。 私の場合は、基本は、身体の土台である下から、 つまり、足部をはじめとした下肢から調整していきます。
全身調整の手段は、主に針とお灸、そして、補助的に手技(手で押さえるなどして筋肉と骨格バランスを調整すること)を使います。
ただし、肩の可動性が悪い状態がある程度続いた方ですと、肩関節自体に、拘縮(関節自体が硬くなってしまうこと)が入っている場合もよくあり、その場合、全身調整だけでは完全に症状が改善しきらないことが多くあります。
その場合は、ダメ押しで、いわゆる「局所治療(症状が出ているポイントそのものを刺激して治療すること)」で、拘縮を緩める治療もします。
私は、今でこそ、全身のバランスを考えた調整を基本的なスタイルにしていますが、治療家になって一定期間は、ずっと局所治療ばかりしてきましので、局所治療には非常に自信を持っております。
ですので、局所治療が必要な場合は、局所を触らない方が良い場合を除いて、積極的に局所治療も行います。 局所治療のデメリットは、「局所を触らない方が良い場合ある」ということだけです。
局所を触っても問題ない場合は、遠慮なく局所治療もします。 「OKはり灸マッサージの針治療~浅い針と深い針のお話」にも書きましたが、私の理想は総合格闘家ですので、全身から局所まで幅広くアプローチします。
ただ、繰り返しになりますが、 局所だけ診るより全体を診た方が、圧倒的に治療効果が良い場合が多いので、そういうスタイルをとっているのです。
肩関節拘縮の局所治療のアプローチ方法
肩関節拘縮の具体的な局所治療のアプローチ方法のひとつは、 「関節モビリゼーション」と言って、 手技(手で押さえるなどして筋肉と骨格バランスを調整すること)で関節を緩めて、 可動性をつけていくアプローチ方法です。 そして、もうひとつの強力な武器は、やはり、「針」です。
拘縮の原因となっている関節周囲の組織を狙って、針をしていきます。 具体的には、「烏口上腕靭帯」「肩関節包」など、かなり深部にもアプローチします。
よって、必然的に深い針になります。
どこをどうやって、どこまで刺せば良いかは、訓練を積んでいますので、確実にヒットさせることができます。 基本的には、手技よりも、針の方が治療効果が圧倒的に高いです。
ただし、ある程度の刺激感が生じますので、患者さんに了承を得た場合のみに、行うようにしています。 この施術を受けて、だんだんと肩の痛みが楽になり、腕が上がるようになったという患者さんは多くいらっしゃいます。
肩が痛くて、腕が上がらないという症状でお悩みの方のご来院をお待ちいたしております。